神戸とJAZZの歴史

小島良太

〈レジェンドの名作を楽しもう その2〉

神戸のジャズシーンを語る上で絶対に外せない、まさにレジェンド。

2018年2月15日に惜しくも亡くなった小曽根実さん。

神戸のジャズシーンのシンボルとして燦然と輝き続けた83年の生涯。

生前親交のあったミュージシャンや関係者の方、震災前に経営されていたお店「M.M.join」に通われていた方からお話を聞かせていただくたびにその偉大さが改めて伝わってきます。

私もライブに行った際、楽しいライブと終演後に気軽にお話してくださったのは忘れられない良い思い出です。

テレビやラジオで聞かせてくれる軽妙なトーク、神戸港遊覧船での「JAZZ BOAT」などのイベントプロデュースで常に肩肘張らずにジャズの魅力を伝えてくださった、その人生と共に育まれた神戸のジャズの歴史。

その演奏の魅力がたっぷりと詰まった作品を追悼の意を込めて紹介いたします。

 

小曽根実「Lazy Dad」(2002年録音 CD:OZONE-420

このアルバムは小曽根実さんの演奏生活50周年を記念して作られた作品です。

この作品以前のアルバムは1969年に発売された「11PM~ハモンドオルガンの魅力」まで遡る事になります。当時の人気番組「11PM」で演奏していた実さんが当時の洋楽ヒットや歌謡曲をオルガントリオで洒脱にアレンジした物で今では入手困難なのが残念でなりません。

さて本作「Lazy Dad」は実さんのオルガンとピアノ演奏両方を楽しめるだけでなく、二人のご子息、ピアニストの小曽根真さんの指揮とアレンジによるストリングス、小曽根啓さんのサックス、長年共演を続けた盟友である古谷充さんなど実さんが絶大な信頼を置く面々とレコーディングされています。

 

表題曲“Lazy Dad”は実さんのオルガンサウンドの魅力が全開!!

ほのぼのとした暖かい雰囲気がジャズの楽しさをストレートに伝えてくれます。

ストリングスをバックにボサノヴァ調の麗しい旋律に気持ちが安らぐ“夜は君のもの”は神戸の煌く夜景に映える、とてもロマンチックなナンバー。

スティーブ・スワロウの“Ladies In Mercedes”やエリントンの“African Flower”など、幅広い選曲、多彩な曲調で聴き手を飽きさせないのは常にお客様に喜んでもらう、エンターテインメントの意識を強く持たれていた実さんを自ずと表していると思います。

笑顔で弾いている表情が容易に思い浮かびます…

 

小曽根実さんが残した足跡はこれからも決して色褪せる事はありません。

神戸のジャズ発展に尽力してくださった偉大なる“ビッグパパ”の意志を引き継ぎ、より一層の進化、発展を目指していく事が我々の使命ではないでしょうか。

 

小曽根実さん、本当にありがとうございました。

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