レジェンドの名作を楽しもう その1
近年、1950年代~70年代の日本のジャズ作品が再評価の兆しを見せています。
今まではどうしても海外の作品の評価が先行して、まさに灯台下暗し、国内のジャズシーンが生んだ名作達の評価は未だに遅れており、再評価はまだまだ追いついておりません。
そこで数回に分けて、現在も活躍されている関西のジャズレジェンドの名作をご紹介しましょう。
紹介する作品はCD化もされて比較的入手しやすいので、なおさら聴いていただきたく思います。
古谷充とフレッシュメン「ファンキー・ドライブ/民謡集」(1960~61年録音)
原盤:テイチクレコード/CD:THINK!RECORDS THCD11 / 060324-13
現在も定期的に関西でライブ活動をされている古谷充さん(アルトサックス、ボーカル)とゴールデンシニアトリオでおなじみの大塚善章さん(ピアノ)が中心となって活動されていたグループです。
大阪の高級ナイトクラブ「アロー」で活躍していた面々により1959年に結成されたこのバンド、坂本スミ子さんのバックバンドとしても全国各地を駆け回って大活躍されましたが、その最中に残した純正ジャズの傑作が「ファンキー・ドライブ」と「民謡集」なのです。
「ファンキー・ドライブ」
大塚善章さんがほぼ全編アレンジをし“DIG”、“TABOO”といったジャズファンには馴染み深い曲がより魅力的に生まれ変わっています。
また大塚さん作曲の“SOUL No.1”やトランペットの稲美馨さん作曲の“Free Soul”も60年代の香りが横溢したクールなナンバーです。
リーダーの古谷さんはアルトサックスでの熱演はもちろん、いまや代名詞であるボーカルナンバーも2曲披露さてれおり、その渋い歌声も大きな聴き所となっています。
「民謡集」
その名の通り、“黒田節”、“五ツ木の子守唄”、“ソーラン節”など日本古来、大衆に親しまれた民謡をジャズアレンジした作品(編曲は大塚さん)。
温故知新、当時としても斬新なアイデアだった事でしょうが、現在聴いてもその音の響きは一切風化されず高い完成度を誇るジャズ作品です。
ファンキーに疾走する“祇園小唄”、アルトサックスとトランペット、二管のソロが冴える“お江戸日本橋”など、どこかで聴いた事のある耳馴染みあるメロディーが見事にジャズに昇華されています。
この2作品、現在はCD1枚にまとめて発売されております。
現在も活躍するレジェンドの若き日の名演をお楽しみください。