ジャズイベント継続は力なり
1960年代、70年代というのは、日本のジャズの隆盛期だと思います。渡辺貞夫や日野皓正などのスタープレイヤーが輩出し、全国いたるところにジャズ喫茶ができていました。今は、隆盛期とは言えないかもしれませんが、神戸の場合は、ジャズは盛んだ、と言えるのではないでしょうか。当時、神戸市内にあったジャズ喫茶も、珈琲を飲みながらジャズレコードを聴くスタイルから、アルコールの充実や、食事の提供で、今でも厳然と営業を続けています。
さらに神戸でジャズを楽しむスタイルで付け加えると、ライブハウスとかコンサートなど生演奏に触れる機会が多いということがあります。毎夜、あるいは、不定期でもジャズライブを楽しめる店は、1969年にオープンした「レストラン ソネ」を初めとして神戸市内に20軒近くあります。そして、神戸でのライブハウスの特徴は、演奏者と聴衆とのコミュニケーションが良くて、「店」と「演奏者」と「聴衆」とが三位一体となって醸し出す雰囲気を楽しめるということでしょうか。
1969年にオープンしたソネ
コンサートやフェスティバルなどのジャズイベントも、神戸では長く続く、そしてユニークなものが多くあります。ジャズフェスティバルと言えば、本場アメリカの東海岸で1954年に始まった「ニューポート ジャズフェスティバル」、1958年に西海岸で始まった「モントレー ジャズフェスティバル」、スイスで1967年に始まった「モントゥルー ジャズフェスティバル」が有名で、超一流のジャズメンが集まり、ライブ録音の名盤も出ています。日本でも、「合歓ジャズイン」や「ジャズフェスティバル 城島ジャズイン」がありました。
ところが神戸のジャズイベントは、一味違っています。1980年に「西日本アマチュアビッグバンドコンサート」が始まりましたが、プロの方のクリニックが組まれています。バンドの数の多さとレベルの高さに驚かされます。1982年には「神戸ジャズストリート」が。パスポートを購入し、市内10か所でのライブを自由に巡ることができます。1985年には、中学生、高校生のビッグバンドによる「ジャパンスチューデントジャズフェスティバル」がスタート。今では中学校20校程度、高校30校参加のビッグイベントとなりました。
「神戸ジャズストリート」:「1982年から続いている神戸ジャズストリート」
これらは、今も続いています。主催者の方の努力には頭が下がります。それにしてもそのエネルギーはどこから来ているんでしょうね。
(ポータルサイト「ジャズの街~神戸」元編集長 安田英俊)