神戸と同じ港町がジャズの発祥の地です
神戸が日本のジャズの発祥地ということには、異論がある方もいるでしょうが、ジャズそのものの発祥地は、ニューオーリンズ。神戸と同じ港町です。モノも人も集まるのが港町で、そこでは独特の文化が育っていく、ということかもしれません。
ジャズのルーツは、アフリカから奴隷としてアメリカに連れて来られた人達が、休息の時に皆で集まり、故郷のリズムを競い合い、神への祈り、戦いの儀式、教会での祈り、苦しさからの叫び、色々なものが交じり合ってジャズの原型のようなものができてきました。
ニューオーリンズには、アフリカ系の人とフランス人との血が混じったクレオールという人たちがいて、それを西洋音楽と結びつけ、ジャズが生まれた、と言われています。1890年代の終わりの頃で、歓楽街の呼び込みに使われていました。
色んなものがまじりあっているからでしょうか、ジャズは様々なものを取込み、各地の音楽と結びついていきます。シャンソンの「枯葉」やロシア民謡の「黒い瞳」なんかは、多くのジャズメンが演奏していますし、ブラジルのサンバにジャズ的なセンスが加味されて、ボサノバが登場します。ボサノバとは、ポルトガル語で「新しい波」という意味です。
日本の音楽界の新しい波、といえば、戦前から活動していた大阪出身の作曲家服部良一のブギウギとかブルースといった題名の作品などは、ジャズの香りがするのですが。自分自身の体験からいえば、ジャズを聴きはじめた頃に耳にした60年代の流行歌「学生時代」とか「上を向いて歩こう」などは軽快なジャズの雰囲気を持っていると思って聴いていました。平岡精二や中村八大といったジャズを学んだ作曲家が、日本の音楽にジャズの味付けを施して歌謡曲という一つのジャンルを確立しました。
アメリカの港町で起こったジャズが、世界にひろがり、地域の音楽と融合していった。取り入れるとか、結びつくといった柔軟さもジャズが好きな理由の一つです。
ポータルサイト「ジャズの街~神戸」元編集長 安田英俊
【写真提供:神戸市シルバーカレッジ にっちもサッチモ】
ニューオーリンズジャズミュージアム
ニューオーリンズ ジャズの殿堂「Preservation-Hall」前で
ニューオーリンズ ルイアームストロング公園で