神戸とJAZZの歴史

安田 英俊

多彩なジャズイベントが増えましたね

1962年に、アート ブレイキーとジャズ メッセンジャーズが来日して、一大ジャズブームが起こり、その後も続々とジャズメンが来日、渡辺貞夫や日野皓正といった日本のプレイヤーも人気を博し、全国各地にジャズ喫茶が出来て新譜ジャズレコードを我先にと聴き、というジャズ全盛期が10数年続いたでしょうか。その後、1980年代に入ると、ジャズもほかのジャンルの音楽に追いやられ、ジャズファンも少なくなったように思います。

ところが最近は、ジャズを核とした各地でのイベントが増えてきたようです。

先日、東京の錦糸町で行われた「すみだストリートジャズフェスティバル」を覗いてきました。今年で9年目だそうです。錦糸公園をメイン会場として周辺40ほどのステージでジャズライブが演奏され、3日間で延べ450バンドが出演する規模にも驚きましたが、食べ物、飲物の屋台はもとより、警察署や自衛隊、バス会社、JRAの協力で乗り物に乗っての写真撮影、塗り絵ブースなど家族用に楽しめるコーナーが一杯。ストリートパーフォーマンスを披露するコーナーもありました。公園内ではシートを敷いてお弁当を広げたり酒盛りをしたり、とにかく家族連れ、仲間連れが大勢、来場者は、15万人以上だそうです。ジャズを核とした街ぐるみの「お祭り」。こんなジャズの楽しみ方もありですね。このような形でジャズに触れる機会が多くなり、ジャズを楽しむ人が多くなることは嬉しい限りです。続いてほしいですね。

すみだストリートジャズフェスティバル

似たようなイベントは、神戸市の西にある高砂市での「たかさご万灯祭」でしょう。10年くらいになるようですが、9月の中頃、高砂市にある歴史的建造物を一斉にライトアップ。キャンドルでのイラストや模擬店、能の舞台もあります。飲食屋台もあれば、商店街の各店の前では飲み物、食べ物を提供、駐車場にテーブルと椅子を置いて飲食所。ここと駅前をメインステージとして、市内20か所くらいでジャズライブ。ここも家族連れで、2日間ジャズを楽しめます。

神戸でも様々なジャズのイベントがありますが、ここまでの広がりを持ったジャズイベントは見当たりません。演奏ステージの周辺に飲食を提供するブースがある「KOBE JAZZ DAY」や「神戸新開地音楽祭」くらいでしょうか。「神戸ジャズストリート」「KOBE JAZZ WALK」「スューデントジャズフェスティバル」などは、多くのジャズプレイヤーが出演し、多くの人がジャズを楽しむ歴史があって定着しているイベントですが、ジャズそのものを聴いてもらうイベントが主流です。これは、ジャズの街神戸ならではのイベントと言えるかもしれません。

イベントを電車に例えると、起動車を運転する人がいて、車掌さんがいて、メンテナンスの人がいて、電車に乗る人がいる。みんなが揃ってはじめてイベントが成り立つのですが、こんなジャズ電車が全国各地に増えているようで、嬉しい限りです。

(ポータルサイト「ジャズの街~神戸」元編集長 安田英俊)

 

スューデントジャズフェスティバル

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